第19回 研究会「状況づけられた言語行動の諸相:会話における『認識性』に焦点を当てて」2021.10

 

 

日時:  2021年10月16日(土)13:00~17:00 (続いて延長戦30分)

実施方法: オンライン(Zoom)

テーマ: 「状況づけられた言語行動の諸相:会話における『認識性』に焦点を当てて」

会話における言語行動は常に「生きた状況」下で実践されるものである。その実践は、「いま・ここ」の環境(人や物の配置)に埋め込まれ、各参与者の様々な意図や認知との関連で意味づけられる。今回は、会話の中で実際に観察された具体的な言語行動の中から、「認識性」を巡る参与者間の不均衡や立場の変容に焦点を当てる。例えば、会話の参与者たちが人や物事に対する評価を述べ合う際に、自分がどれほどその対象についての知識や経験を有しているかを互いに主張し合うような側面が見受けられる。「認識性 (epistemics)」とは、このような参与者たちの知識・経験に対する志向性のことである。この「認識性」が会話の場の状況とどのように関連し、その場にどのような変化をもたらすのか。それは具体的にはどのような言語行動として現れるのか。今回は日本語会話のみならず、中国語、英語の事例分析も踏まえ、これまでの研究会で得られた知見を捉え直し、「具体的事実として在る言語行動」への理解を深める。

プログラム内容

【シンポジウム】

司会・趣旨説明 名塩征史氏(広島大)

1 早野薫氏(日本女子大)「会話における『認識性』を巡る英語の事例分析」概要

2 名塩征史氏(広島大)「会話における『認識性』を巡る日本語の事例分析」概要

遠藤智子氏(東京大) 「会話における『認識性』を巡る中国語の事例分析」概要

4 全体討議

[一般研究発表]

尚 暁歓氏 (筑波大 大学院博士後期課程)「副詞「ろくに」の意味と構文特徴に関する考察」概要

岩井恵利奈氏(信州大)「発話頭における言語要素の独立—Stillの戦略的な使用拡張—」概要

小林隆氏(群馬県立女子大)「I don’t know+that節の使用における話し手の認識について:認知文法的アプローチ」概要

プログラムは前半シンポジウム、続いて一般研究発表3件、続けて有志による延長戦での議論という形をとりました。初めてのオンライン実施であり、定員数・時間の設定を含め手探りの運営でしたが、参加者は満員となりました。認識性研究と文法研究はどのような関係を取り得るのかなどを含めて活発な議論が実現しました。今後も言語行動の諸相を検討する多様な企画を立てて行く所存です。ご出席いただいたみなさまに感謝申し上げます。

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世話役:秋元美晴・志賀里美 (恵泉女学園大)・氏家洋子 (北京日本学研究センター)・竹内直也 (相模女子大)・★名塩征史 (広島大)・野原佳代子 (東工大)・山田昌裕(神奈川大) ★実行委員長